体に必須な糖質は存在しない
人間の体が必要としている体内で合成できない物質は、必ず食事によって摂取する必要がありますね。
そもそも人間の体は、およそ20種類のアミノ酸を必要としており、そのうちの8種類は体内で合成することが出来ません。
また、リノール酸やαーリノレン酸などの脂肪酸も体内で合成することが出来ない物質で、これらば必ず食事から摂取しなければならず、必須アミノ酸、必須脂肪酸と呼ばれています。
ですが、糖尿病の原因ともなる糖質は、食事から必ず摂らなければいけないような、必須糖質と呼べるものは存在しません。
良く糖質が足りないと「脳が働かない」「筋肉が痩せてしまう」「赤血球が働かない」と言う人もいますが、これらは全て知識の不足から来ている誤解なんですね。
確かに体にはブドウ糖は必要な物質ですが、糖新生といって血液中のブドウ糖の量が低下したときに、糖質以外の物質を使って肝臓でブドウ糖を 作り出すことが出来る仕組みがあるのです。
しかも、この糖新生の機能はとても能力が高く、外部からの糖質がなくても十分に体に必要なブドウ糖を合成できるのです。
また、肝臓はアミノ酸や乳酸、脂質の構成成分であるグリセロールなどを使ってブドウ糖を合成するのですが、更にホルモンのグルカゴンやエピネフリンの作用によって糖新生の経路が複数あり、人間の体のブドウ糖の合成の仕組みは万全とも言えるのです。
実際に、アメリカの食事摂取基準にも、「炭水化物の必要最小量はゼロである」という記載もあるなど、世界中の栄養学を学んでいる人にとって、必須糖質が存在しないことは常識になっています。
食事で糖質を摂取した時だけは血糖値が急上昇することになり、インスリンが大量に追加分泌されるようになります。
しかし、タンパク質や脂質を摂取してもインスリンの追加分泌は殆どありません。
いずれにしても、食物を摂取して体で消化、吸収された後の糖質は、全てが血糖に変わりますが、タンパク質と脂質は血糖に変わらないのです。
更に糖質は摂取した直後から急激に血糖値を上昇させ、2時間以内に殆ど吸収されてしまうのです。
現在の糖尿病の治療において、この食後の急激な高血糖が大きな問題となってきており、それは命に関わる心筋梗塞や脳梗塞などの合併症の危険因子として広く認知されるようになってきたからです。